2012年7月13日金曜日

苦情申出書


 6月19日、私たち反天皇制運動の実行委員会は、4月29日のデモ警備のありかたについて、反「昭和の日」集会実行委員会の名前
で、東京都公安委員会に対して苦情申出書提出を行いました。

 私たち実行委委員会は、今年に入り、2.11反「紀元節」、4.
29反「昭和の日」行動の一環として、警察によるデモ参加者の撮影や、前後左右から圧縮する等の威嚇・妨害行為、右翼への情報提供疑惑に対して是正を要求する行動を継続しています。

 今回の苦情申出書は、主に警察によるデモ参加者の写真・
ビデオ撮影の違法性について訴えるものでした。その後、警察による右翼団体への私たちのデモに関する情報提供の疑惑についても、審査の要求をする文書を追加することとしました。

 今回の苦情申出書提出により、
公安委員会から担当の警察部署に対し調査と回答が要求され、回答がでたところで公安委員会から実行委へ通知がきます。
回答は9月頃とのことです。

 私たちは、今年も例年どおり8.15反「靖国」
行動を準備しています。
 今年のテーマは「排外主義と天皇制を問う」です。

 今回の苦情申出は、デモくらい自由にしたい、
それくらい民主国家の前提でしょう!?と、要求しているにすぎません。
 しかし、それすらが危うい事態となっているのが今の日本社会です

 基本的人権ともいえる思想・信条の自由と、そのための表現手段の
一つであるデモの自由は、沢山の人の手で守っていくしかありません。
 実行委は行動を続けます。どうか、今年も8.15行動にはお集ま
りください。

 以下、6月19日付けで提出した「苦情申出書」です。
追加文書は近日中に提出予定です。
 警察がどのように調査し報告を出すのか、ご注目ください。

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苦情申出書


2012年5月31日

東京都公安委員会御中

 2012年4月29日に、
新宿区早稲田において開催された集会ならびにその後に実施されたデモ行動に対する、警視庁戸塚警察署・警視庁新宿警察署の警備課と、警視庁警備部および警視庁公安部による規制に関して、警察法第79条に基づき苦情申出を行う。

1、苦情申出人の氏名


植民地支配と日米安保を問う反『昭和の日』集会 実行委員会

実行委員 *****
     *************************

2、苦情申出の原因たる職務執行の日時、場所とその概要について


 年月日:2012年4月29日

 時間: 集会開催 同日13時~16時
     デモ行動 同日16時~17時
 当該の行動のうち、「植民地支配と日米安保を問う反『昭和の日』
集会」は、東京都新宿区西早稲田の「日本キリスト教会館」会議室において開催された。その後に実施されたデモ行動は、前記集会会場から出発し、早稲田通りから明治通り、大久保通りを経由して新宿区大久保の西大久保公園まで実施された。
 同日の行動には、子どもや老人も参加していた。そして、このこと
は、申出人らが事前に戸塚警察署に赴いて、デモに伴う道路使用許可申請を提出した際に、警備担当者らに対し明確に述べており、警備担当者も知るところであった。
 それにもかかわらず、当日の警察官による警備は厳しいものであり
、デモ行動への参加者は、行動の最初から最後まで警察官の強い規制に身をさらされ、その思想・信条に基づいた表現が制約された。これに加え、警察官は、指揮官車両や歩道上から、参加者の顔や全身の写真や動画を撮影し続けた。

3、苦情申出の原因たる職務執行による不利益と、
これにかかわる警察職員の執務の問題点について

 この日の苦情申出人らの行動に対し、「警備」
の名目のもとに警察官が行った職務執行は、日本国憲法に基づく個人の自由や権利を著しく損なうものであって許されない。

 この4月29日の集会とデモ行動を主催した、
同集会実行委員会は、集会およびデモ行動に先立ち、別紙の内容の要請書を、警視庁警備部長、警視庁戸塚警察署長、警視庁新宿警察署長に対して提出している。
 これに記載されている、2月11日に実施された「2.11反『紀
元節』行動」は、4月29日に実施された「植民地支配と日米安保を問う反『昭和の日』集会」と、主催者や参加者の多くを共通するものである。さらに、2月11日の行動と4月29日の行動は、集会の開催場所やデモ行動のコースもまた、同じ場所とコースで実施された。
 2月11日の行動は、別紙要請書に記載されているように、右翼団
体による激しい騒音と暴力にさらされるものであった。2月11日に生起した事実は、すでに日も過ぎており、今回の苦情申立てとは異なるものではあるが、内容において密接に関連性があるのでこれについて述べる。
 この2月11日には、明治通りの上下車線の歩道側には、多数の右
翼の街宣車が、あらかじめ警察の指示があったように並べられ、「死ね」「殺せ」「日本から出て行け」などの脅迫が大音量で流され、右翼団体の構成員が、あちこちからデモ行動の参加者に飛びかかってきた。警察官らは、こうした右翼の暴行を十分に抑止せず、むしろ危険にさらされているデモ行動への参加者に対し、厳しい抑制を伴う警備を実施したのである。
 このような脅迫や暴力は、これまでにも形を変えて繰り返されてい
るものである。申出人ら2月11日の行動の主催者は、集会やデモ行動への参加者の安全を最優先させる目的で、本来は広く公開するべき集会や行動のための宣伝活動も控え、デモのコースについても事前に公表しなかった。それにもかかわらず、直前に決定された2月11日当日の行動のタイムスケジュールは右翼団体に流されており、右翼による激しい暴力を前提とした警察官による重警備体制によって、当日の行動は著しく損なわれた。別紙要請書は、こうした事実経過を踏まえたものである。

 今回の4月29日の行動に際しては、
前記2月11日のような危険で不当な事態が生起しないことはもちろん、当日の行動においては、正しく基本的人権を行使し、その意思を表現することができねばならないと、申出人ら主催者は考えた。この意志を明確にするべく、集会と行動に先だち、警備担当者らに対し、要請書を手交し、読み上げたものである。
 別紙要請書に記載されている、1~4の項目は、いずれも要請とし
ては極めてささやかなものであると申出人は考える。
 個人の肖像権は、常に尊重されねばならないものである。街角や建
物などに近年はビデオカメラが多数設置されているが、その内容を一般人が開示したり利用したりすることは許されていない。これは警察官においても同様である。デモなどの行動を、犯罪捜査などの特別な理由もなくただ撮影することは、自由な政治行動や意思表示を犯罪と同一視することである。それは、個人の自由や権利を損ない、委縮させることにつながるものであって、そのようなことのないよう、警察官の職務執行においても抑制的でなくてはならない。しかし、今回の行動においては、事前に要請を行っており、当日の状況においても何らこれが必要な状況ではないにもかかわらず、警備の指揮官車両や、歩道上の多数の公安警察官らにより、放恣な写真やビデオ撮影がなされ、参加者らからの抗議によってもこれは是正されることがなかった。
 前記2月11日のような状況は、集会やデモ行動への参加者はもち
ろん、警備担当の警察官ら自身をも危険にさらすものでもある。今回の4月29日の行動に対しては、そのことが警備担当者においてある程度は周知されたのか、集会とデモ行動を行っている場所と時間においては、右翼団体らの直接的な襲撃は小さいものであった。
 しかし、こうした状況が起きなかったわけではない。デモ行動の終
了後になって、あたかも警察官らの警備と交代するように、右翼団体の構成員らが参加者に対して襲撃をかけてきた。これにより、参加者は蹴られたり殴られたりしたが、大きな怪我や被害がなかったのは、極めて幸運なことであった。また、集会を開催した日本キリスト教団の敷地内には、右翼団体らが5台もの街宣車で押し掛け、集会の会場を提供したことに対して脅迫行為を行った。前記集会の開催中にも、右翼団体らは、会場の最寄駅周辺で、参加者らを脅迫するような行動を展開したという。
 これらは、右翼団体に情報提供がなされていたことを疑わせるに足
る事情である。もしも、こうした暴力的な右翼団体に、公安部などの警察官が何らかの形で事前に情報を流していたとしたら、それは司法警察員として決して許されることではない。このような暴力的な事態はもちろ
ん、そのような事態が生起することを予期していながら、むしろそ
れを助長するような動きを、警察関係者が行うようなことは、犯罪的ですらあろう。

 今回4月29日には、
前記2月11日のような事態は生起しなかったが、以上のように、憲法上の権利や自由が十分に保障された状況とはほど遠いものであった。それは、警察による適法な警備がなされていなかったことに他ならないと考える。これらについて、適切な調査と改善がなされることを求める。
 以上、苦情を申出るものである。

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別紙


警視庁警備部長 殿

警視庁戸塚警察署長 殿
警視庁新宿警察署長 殿

反「昭和の日」実行委員会


 私たち反「昭和の日」実行委員会は、4月29日、「
植民地支配と日米安保を問う反『昭和の日』集会とデモ」を行うにあたり、これまでの実行委員会が主催したデモの経験を踏まえ、4月29日当日の貴職による警備について、申し入れます。
 去る2月11日の2.11反「紀元節」行動においても、デモ申請
の際に憲法・法律に基づきデモ警備に関する要望を口頭で伝えていました。しかし実際は、警察による違法な写真・ビデオ撮影や、集会会場前からデモ解散地点にいたるまでの公安警察による参加者の監視が多数みうけられました。また、デモ参加者を圧縮や暴言などの行為で威嚇し続けるなど、実行委員会からの事前の要請の多くは無視された形でした。
 それだけでなく、暴力的な妨害行動を行う右翼に、デモコースや出
発時間、解散地点等々の情報を流さないよう、これまでの同様の経験に基づき、あえて要請もしていましたが、デモ行進は事前にデモコース上で待ち構えていた右翼による暴力的な妨害により、危険きわまりないものとなりました。情報は流されたと判断するしかありません。およそ表現の自由を認める法治国家とは言えない事態です。
 以上のような経緯から、3月2日付けで、各位へ2.11反「紀元
節」行動への警備のあり方について公開質問状を送付し、警視庁戸塚警察署には4人の実行委および関係者が同公開質問状を持って申し入れしましたが、いずれからも真摯な対応はなされていません。
 私たちはこのような事態を繰り返すことなく、思想・信条の自由、
表現の自由という権利を街頭で安全に行使していくために、またそのことを前提に集まってくる参加者の安全を守るために、再度、貴職に対し、以下を強く要請します。

1.集会会場付近での参加者の監視行動や、デモ時、
デモ参加者の写真やビデオ撮影を行わないこと。デモ隊前後の警察車両からビデオ撮影をしないこと。肖像権侵害は違法行為であるとの認識を周知徹底すること。

2.機動隊の指揮官車を、デモ宣伝カーの前につけないこと

 デモを指揮するのは警察ではないという認識を周知徹底すること。
指揮官車はデモを監視しているようにしか受け取れない。

3.右翼のデモ参加者に対する威嚇・妨害行為に対して、
警察は便宜をはからないこと。
・右翼に実行委員会のいかなる情報も流さないこと。
・右翼の街宣車をデモコースに配置させないこと。

4.
デモ参加者への規制および大音量でデモの示威行為を妨害しないこと
 早く歩くように指示したり、デモの後ろから押したりしないこと。
不当に左右から挟み込んだり圧縮しないこと。また、大音量によるデモ行進の告知をしないこと。デモ行進は一目瞭然であって告知は不要であり、大音量のアナウンスはデモの示威行為を妨害している

以上